野鳥

カワウの生態|食性・繁殖生態(繁殖期・コロニー・一腹産卵数)

 カワウ(Phalacrocorax carbo)はペリカン目ウ科ウ属に分類される野鳥で、北アメリカ、ユーラシア大陸、オセアニア、アフリカ大陸と広い地域に分布しています。日本で捕獲されたカワウ(成鳥)の全長は約70~80cm、尾長は約16~22cm、翼長は約31~35cm、体重は約2000~2400gと、オスの方がメスよりもやや大きく、体色は黒色で雌雄同色です。日本では1980年代よりカワウの個体数が増加しており、漁業被害や糞害による植生被害や生活環境被害などが問題となっています。

特徴

 カワウ(Phalacrocorax carbo)はペリカン目ウ科ウ属に分類される野鳥で、北アメリカ、ユーラシア大陸、オセアニア、アフリカ大陸と広い地域に分布しています。日本では留鳥として本州から九州にかけて分布し,海岸・河川・湖沼などに生息します(真木 & 大西, 2000)。

 日本で捕獲されたカワウ(成鳥)の全長は約70~80cm、尾長は約16~22cm、翼長は約31~35cm、体重は約2000~2400gと、オスの方がメスよりもやや大きく、体色は黒色で雌雄同色です。海岸から河川・湖沼に生息しています。

 日本では1980年代よりカワウの個体数が増加しており(福田ほか,2002)、漁業被害や糞害による植生被害や生活環境被害などが問題となっています。

全長・翼長・尾長

体重

繁殖生態

 カワウは高木の針葉樹や広葉樹の樹上に営巣し、数十〜数百羽ほどの集団繁殖地(コロニー)を作って繁殖します(佐藤& 濱田, 2011)。アオサギやゴイサギ・コサギ・チュウサギ・アマサギとの混合コロニーを形成する場合もあります(樋口 & 藤岡, 1982)。

カワウの繁殖期は地域や年によって異なり、青森県では4〜9月(福田,1982)、愛知県では1〜8月(土屋ほか,2013)であったと報告されています。

 カワウの一腹産卵数は、1~6卵(不忍池:2.58±1.07個、小堰川河口:2.4±1.07個)で、平均44日ほどで孵化します(福田,2002)。

繁殖生態(コロニー)・繁殖期

 カワウは高木の針葉樹や広葉樹の樹上に営巣し、数十〜数百羽ほどの集団繁殖地(コロニー)を作って繁殖します(佐藤& 濱田, 2011)。アオサギやゴイサギ・コサギ・チュウサギ・アマサギとの混合コロニーを形成する場合もあります(樋口 & 藤岡, 1982)。

 糞害や枝の踏みつけ・折り取りのため、カワウのコロニー付近の営巣木や周辺木では、衰弱や枯死などの森林被害が発生する事例も報告されています(藤原 & 高柳, 2001., 伊藤, 2007)。

 カワウの繁殖期は地域によって異なりますが、青森県下北半島では4〜9月、愛知県鵜の山では2〜8月です。東京都不忍池では1〜6月・2〜8月とほとんど1年中繁殖期があります。

一腹産卵数・巣立ち雛数

 カワウの一腹産卵数は1〜6卵(平均2〜3個)の卵を産卵し、一つの巣からは平均1〜2羽の雛が巣立ちます。平均一腹産卵数や巣立ち雛数は地域や年による差があります。

食性

 カワウは沿岸部の海水域や汽水域・内陸部の淡水域までの幅広い水域で、魚類を中心に甲殻類(ザリガニ・エビ等)を採食しています。魚類ではウナギ目・カサゴ目・カレイ目・コイ目・サケ目・スズキ目・ナマズ目・ニシン目・フグ目・ボラ目の採食記録があります。

 カワウが1回に採食する最大量は500~600gと考えられています(神奈川県水産総合研究所内水面試験場,2001)。

魚類

甲殻類

引用文献

  • 星河廣樹. (2013). 犀川における有害鳥類の食性調査. 平成25年度長野県水産試験場事業報告. 27pp.
  • 神奈川県水産総合研究所内水面試験場 (2001) 平成12年度内水面資源適正管理手法開発委託事業報告書.水産庁,東京.
  • 福田道雄, 成末雅恵, & 加藤七枝. (2002). カワウの基礎研究と応用研究 日本におけるカワウの生息状況の変遷. 日本鳥学会誌, 51(1), 4-11.
  • 福田道雄. (1982). 下北半島におけるカワウの繁殖. 鳥, 31(2-3), 69-74.
  • 福田道雄. (2002). 日本におけるカワウの繁殖生態. 日本鳥学会誌, 51(2), 116-121.
  • 真木広造 & 大西敏一. (2000). 日本の野鳥590. 株式会社 平凡社.
  • 大野宣和, 五十嵐和昭. (2020). カワウ胃内容物調査, 岩手県内水面水産技術センター年報(平成29年度), 32.
  • 佐藤真衣, 井上裕紀子, 石垣麻美子, 山脇諒子, 中川靖大, & 新妻靖章. (2009). 愛知県二地域におけるカワウの食性. 日本鳥学会誌, 58(2), 196-200.
  • 上村信夫. (2004). 研究レポート カワウは何を食べている? はまな, 505: 1-3.
  • 高橋一孝. (2006). 山梨県のカワウ生息の現状について. 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター事業報告書. 33: 36-48.
  • 戸井田伸一. (2002). 相模川水系におけるカワウ Phalacrocorax carbo hanedae の食性.
  • 土屋健児, 風間健太郎, 井上裕紀子, 藤井英紀, & 新妻靖章. (2013). 中部地域におけるカワウの育雛期の食性の繁殖地および年による違い. 日本鳥学会誌, 62(1), 57-63.
  • 田中英樹, 鈴木究真, 品川卓志, 西原美智子, & 小西浩司. (2009). 群馬県内で捕獲されたカワウの外部形態と食性に関する調査.
  • 田中英樹, 鈴木究真, 品川卓志, & 小西浩司. (2012). 群馬県内で捕獲されたカワウの外部形態と食性に関する調査 (2).
  • 戸井田伸一. (2002). 相模川水系におけるカワウ Phalacrocorax carbo hanedae の食性. 神奈川県水産総合研究所研究報告, 7: 117-122.