ハブの駆除を目的として沖縄県に移入されたフイリマングース(Herpestes auropunctatus)は雑食性であり,哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・節足動物・軟体動物・植物などを採食します。採食物には固有種や絶滅危惧種なども含まれていることから,在来生態系への影響も懸念されています。
近年の研究成果により、従来ジャワマングース(Herpestes javanicus)とシノニムないし同種とされていたフイリマングース(Herpestes auropunctatus)が別種とされ、国内に定着している個体群はフイリマングースであることが明らかになりました。
マングースの採食物リスト
沖縄県に移入されたフイリマングース(Herpestes auropunctatus)は雑食性であり,哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・節足動物・軟体動物・甲殻類・植物などを採食します。動物質には土壌動物と昆虫類の割合が高く,特に昆虫類に強く依存し,冬季から春季には哺乳類や鳥類を採食する割合が増加します。採食物には固有種や絶滅危惧種なども含まれていることから,在来生態系への影響も懸念されています。
哺乳類
| 種名 | 論文 |
|---|---|
| アカネズミ | 船越ほか,2012 |
| アカクマネズミ | 伊波, 1966 |
| オキナワハツカネズミ | 伊波, 1966 |
| クマネズミ | 伊波, 1966 船越ほか,2012 |
| ドブネズミ | 伊波, 1966 |
| ヒミズ | 船越ほか,2012 |
| ワタセジネズミ | 小倉ほか,2002 |
鳥類
| 種名 | 論文 |
|---|---|
| 野鳥類(種不明) | 伊波, 1966 小倉ほか,2002 船越ほか,2012 |
昆虫類
| 種名 | 論文 |
|---|---|
| アオドウガネ | 船越ほか,2012 |
| アカアシハラナガツチバチ | 小倉ほか,2002 |
| エンマコウロギ | 船越ほか,2012 |
| オオゴキブリ | 船越ほか,2012 |
| クツワムシ | 船越ほか,2012 |
| ケラ | 船越ほか,2012 |
| サツマゴキブリ | 船越ほか,2012 |
| サツマコフキコガネ | 船越ほか,2012 |
| サツママダラカマドウマ | 船越ほか,2012 |
| ツノトンボ | 伊波, 1966 |
| トノサマバッタ | 船越ほか,2012 |
| トビゲラ | 伊波, 1966 |
| ナナフシ | 伊波, 1966 |
| ニシキリギリス | 船越ほか,2012 |
| ハムシモドキ | 伊波, 1966 |
| ヒメギス | 船越ほか,2012 |
| マダラコウロギ | 小倉ほか,2002 |
| ヤブキリ | 船越ほか,2012 |
| ヤマトフキバッタ | 船越ほか,2012 |
| アリ科 | 小倉ほか,2002 |
| クロバエ科 | 小倉ほか,2002 |
| トンボ(種不明) | 伊波, 1966 |
| 直翅目(種不明) | 伊波, 1966 小倉ほか,2002 |
| 膜翅目(種不明) | 小倉ほか,2002 |
| 甲虫目(種不明) | 伊波, 1966 小倉ほか,2002 |
爬虫類
| 種名 | 属名 |
|---|---|
| アラカナヘビ | 伊波, 1966 |
| キノボリトカゲ | 小倉ほか,2002 |
| メクラヘビ | 小倉ほか,2002 |
| ヘビ(種不明) | 伊波, 1966 小倉ほか,2002 |
両生類
| 種名 | 属名 |
|---|---|
| オキナワアオガエル | 小倉ほか,2002 |
| イボイモリ | 小倉ほか,2002 |
植物
| 種名 | 属名 |
|---|---|
| イヌビワ | 船越ほか,2012 |
その他
| 種名 | 属名 |
|---|---|
| オオゲジ | 船越ほか,2012 |
| ヤスデ類 | 船越ほか,2012 |
| 甲殻網 | 小倉ほか,2002 |
| 等脚目 | 小倉ほか,2002 |
| 唇脚目 | 小倉ほか,2002 |
引用文献
- 船越公威, 新井あいか, 永里歩美, 山下啓, 阿久根太一, 川路貴代, 岡田滋 & 玉井勘次. (2012). 鹿児島市に生息するフイリマングース Herpestes auropunctatus の食性について. 哺乳類科学, 52(2), 157-165.
- 伊波興清. (1966). マングースの分布と食性について. 沖縄農業. 5: 39-44.
- 小倉剛, 佐々木健志, 当山昌直, 嵩原建二, 仲地学, 石橋治, 川島油次 & 織田銑一. (2002). 沖縄島北部に生息するジャワマングース (Herpestes javanicus) の食性と在来種への影響. 哺乳類科学, 42(1), 53-62.
